ささやかな逃走

サウンドブランディングについて考えるブログ

サウンドブランディングエージェンシーの規模感…?

今回は、世界のサウンドブランディングエージェンシーが、一体どのくらいの規模感なのか、数回に分けて見ていこうと思います。

ここでは、Audio Branding Award2015を受賞したエージェンシーから見ていきます。

まずは、こちらの記事で紹介した、ウィーンの公共交通のサウンドデザインを手掛けた"SOUND STRATEGY"と"why do birds"から。

 

SOUND STRATEGY (Austria)

売上・資本金…不明
人数…恐らく5名
その他…2011年にもウィーンの公共交通にてABA受賞。

WEBサイトは非常に簡素。英語にするとコンテンツが減っている気がする。
ただ、パッと見気づきませんがロゴにカーソルを合わせると音が出るようになっていて
さすがに音要素は入れてきているな、という感じ。

why do birds(Germany)

www.whydobirds.de

売上・資本金…不明
人数…約10名
クライアント…VolksWagen,SIEMENS,FIFA

SOUND STRATEGYに関して、"partener agency"という記載があるため、
子会社化しているか何らかの関係性があると思われます。

 

何もわからなくて辛い…

次は、こちらの記事全仏オープンの話題で取り上げたフランスのエージェンシー、"Sixième Son"。読めません。

Sixième Son (France)

www.sixiemeson.com

売上・資本金…不明
人数…8名
クライアント…ミシュラン、PEUGEOT、LANCOME、Dior、SAMSUNGUNICEF

名だたるフランス企業がクライアントに並びます。
サイトのつくりなど見ていると前の二つより華やかでしっかりしているが、人数的には同じ規模。

 

最後は子供デパートの事例で取り上げた、スウェーデンの"Lexter Ljuddesign"。

■Lexter Ljuddesign(スウェーデン

 

www.lexter.se

 

売上・資本金…不明
人数…13人
クライアント…デパートなど売り場中心

このサイト、1ページしか英語になっていませんでした。
スウェーデン語?さっぱり分からない…

 

まずは受賞したエージェンシーを並べてみましたが、
分かったことは人数は10人前後、
スモールエージェンシーとして活動していることくらいしか分かりませんでした…。

かなり規模は小さいながら、ビッグクライアントを持っている企業も多いですが、
ビッグエージェンシーとの繋がりで仕事が来ているのか
直接パートナーなのか
その辺り分かりません。

そもそも海外のエージェンシーは構造が日本の広告会社や広告制作会社とは
大きく違ってくるため、
どう読み解けばよいものか。。

とりあえず、引き続きサウンドブランディングの本を出版しているような
PR活動に力を入れているエージェンシーの規模感やクライアントなども見ていきたいと思います。
数見ていけば何か分かるはず…。

 

"子どもデパート"を音でもっと面白く!

Audio Branding Congress、ようやく受賞作ラストです。

最後は、スウェーデンの子供デパート?の事例。
日本のデパートの子供服売り場だけで出来ているようなChidren's Department storeというのがあるそうです。

そこのサウンドブランディング事例。

Åhléns City Stockholm, Children’s Department
– Great experiences for little customers –

 

やたら動きが早くて酔ってしまう動画がついていますが、(笑
ポイントごとに音を使った遊びを色々と仕組んでおいて、
マップで子供に追ってもらったり、インタラクティブなサウンドコンテンツを用意したりしています。

また、全体のサウンドスケープを作り出す上で、エスカレーターの音などノイズになってしまうものも含めた上で設計していると、エージェンシーはコメントしています。

リスが走り回っている音がする試着なんか、遊びがあってとても良いですね。
姿が見えなくても、ついついリスを探してしまう、そういうことをさせてしまうのが音の圧倒的な強さだと思います。

空間デザイン・体験デザインの文脈での音というものを最大限に活用した事例だと思います。
日本でも話題になってきている空間デザイン・体験デザインというところで
是非こういった事例を基に、音の利用方法も進化していくといいなと思います。

 

Music Hack Day Tokyo 2015に入れなかったよ

音楽の未来を24時間で考え、開発し、デモする、世界13ヶ国20都市で行われているハッカソンイベント、"Music Hack Day Tokyo 2015"が8月の22-23日に行われていました。

www.musichackday-tokyo.org

24時間終了後のプレゼン、是非とも観に行きたいと思い
事務局に連絡・直接行ってみる
などなどやってはみましたが、
受付などもなくビルも完全に閉鎖されており入れず…。

残念でした!

 

「音楽ハッカソン」とはそもそも何か、まとめてくださっている musicman.netの記事がありましたので、載せておきます。

www.musicman-net.com

ストリーミングサービスが堰を切ったように開始していますが、
もっと面白い音楽サービスは無いのか!とプログラマー・デザイナーの方等が
知恵を絞って参加してくださるわけですね。

是非実際に取材してこちらで発表したかったものですが。。

Wired辺りのレポートを待ちましょう、と。。

 

去年のレポートも見直して紹介しようかなー。

世界的テニスプレーヤーも絶賛、全仏オープンのテーマ

Audio Branding Awards、シルバー獲得のプロジェクト。

テニスの世界的大会、全仏オープンのテーマです。

French Open | ( ( ( ABA ) ) ) Audio Branding Academy

世界中が注目しており3億人もの視聴者がいるという、この大会のために
オリジナルテーマが制作されました。

男子テニス決勝戦で、このテーマをバックに2人が入場してくるシーンが最も印象的だった、と製作者は語っています。

"全てがシンクロしており、素晴らしかった。"
映画さながらに感じられるものになったのでしょう。

優勝したラファエル・ナダルも音楽についてコメントをしている点が印象的です。

“To receive this trophy, with this magnificant audience who has supported me and with this incredible music was a powerful and emotional moment for me.”

"…この素晴らしい音楽の中でトロフィーを貰うのは心を打つ時間でした。"

 

スタンディングオベーションがこれだけ続いたのも、この音楽のおかげだ、とスポーツジャーナリストもコメントしています。

 

スポーツの大会と音楽は実はかなり結びつきが深く感じられる気がします。
日本代表サッカー×サラブライトマン"question of honer"
ワールドカップ×ブラジル大会からのTheme Anthem

など、聴いた瞬間に想起するものも多いですね、一度まとめてみたいものです。

 

テニスは普段全然見ないのですが、マツコの知らない世界で取り上げられていたことと、
今回のテーマに触発されて是非見てみたいですね…!

錦織選手!!!!とBGMの組み合わせを是非この目で見たいです。チェックしよう

ウィーン公共交通と生み出す新たな"街の音"

再び、Audio Branding Awardsに一度戻り、ゴールド受賞作の紹介です。

オーストリア、ウィーンの公共交通"WIENER LINIEN"のサウンドブランディング事例です。

ここでも、サウンドロゴとそれに伴うテーマ設定が評価を得ています。
作るに当たって大切にされたのは、"ウィーンらしさ"。
"The sound concept evolves around Vienna’s defining audio motif: The Vienna waltz. The “Donauwalzer” and its 6/8 rhythm were the main musical inspiration for the 4-tone sound logo..."

ウィンナーワルツとその8分の6拍子のリズムを元に作られたというのが、
「その街」を作り出すのに不可欠だったと、製作者は語っています。

4つの音から成るロゴの前には、
発車する電車のドアが閉まる音
後ろには
バスが到着する音
となっているのも興味深いです。


特徴的なのは、その使われ方の幅の広さ。
電話の保留音・動画内・アナウンスのベル・イベント・社内オーケストラ・自動券売機など、様々なツールで活用されています。

また、アナウンスの女性の声に関しては、4人の候補者の声から、一般の人々が投票で選ぶという形式をとっています。
サウンドブランディングと言っても、一方的なものだけではなく参加型の仕組みが評価された部分も大きいようです。投票に参加した人数は2万人にのぼるとのこと。
結果、オーストリア訛りのある女性の声が選ばれたようです。

 

"this is our new sound of city"
と説明動画内にあります。"街の音"って良いですね、日本だとどうなるんでしょう。東京だと。

都営交通がやったらどうなるのかな。

 

音のROIは測れるか

こんばんは。

数回前から続いている、Audio Branding Academyの話題ですが、
今日はABA主催のCongressのモデレーターを務めていたSteve Kellerさんのインタビューの一部をご紹介いたします。

www.soundesign.info

 

中盤で出てくる、
Audio BrandingのROIは測れますか?という質問に、
彼はノーと答えています。

洒落た言い方で「非常に達成が難しい」というのを"Holy Grail"(聖杯)
と言うのだそうで、
費用の計算の難しさを語っています。
ただ、必要とされているものでは当然あるので、どうにかしようという意識はあるようです。とにかくデータが足りないと。

何となく一昨日のライターさんとは、異なるポイントな気もします。

今後のイノベーションアイディアとしては、
バーチャルリアリティ、VRの発展と共にAudio Brandingもイノベーションを起こしていくだろうというコメントをしています。

常に体験とセットになってくる音というものは、確かにVRとの相性は良さそうです。

 

朝、続きを書きます…!

 

 

夏のヒットを作り出すDNAを解析!

引き続き、受賞作の紹介です。

今回は、ユニリーバのアイスキャンディーブランド、"Fruttare"の事例です。
エージェンシーは英国の"CORD Worldwide."

ブランドのテーマとなる"hook"(短いフレーズのことです)と、それを基にしたブランドサウンドを作るにあたって、

CORDは「夏らしさ」を作り出すDNAは何なのか、調べるために300の夏フェスを分析し、100曲の楽曲を分解して解析しました。

また、Fruttareの競合となるブランドの音楽戦略を徹底的に洗い出し、
ポジショニングを行っています。

その結果、"耳に残るhook"が何よりもFruttareのブランドを差別化されたものにする、
ということが分かり、
多種多様のアレンジが可能なhook作りを行ったというわけです。

作成されたhookと、それを基に作られた楽曲"Stay a while"はあらゆるブランドコミュニケーションで利用されています。

 

また、世界的なDJ、Tiestoとコラボし"Tiesto Remix Version"を配信することで、
強いアーティストの持つコミュニティへの認知・波及効果をものにしています。

 

サイト上で誰もが自由にRemix楽曲をつくれるキャンペーンを行うなど、
この楽曲・hookを元にあらゆるコミュニケーションを図っているという点で
Audio Brandingとしては最も好事例として今回のBronzeを受賞しています。