ささやかな逃走

サウンドブランディングについて考えるブログ

【読書中】『Sound Design 映画を響かせる「音」のつくり方』

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ずいぶんとサボってしまいましたが。

こちらの本を読んでます。

これまた2か月くらい前に買ったような気がしますが、ようやく読み始めました。

filmart.co.jp

「かもめbooks」さんの音楽棚にて購入。
私のためかよ!と思うくらいにニッチテーマな気がしたので、
この辺りのテーマがお好きな人がいるのかと思いレジで聞いてみましたが
単純に新刊だから置いていた模様。そうなんだ。

表紙の綺麗さとタイトルのど真ん中レベルで一瞬にて購入に至ったわけです。
内容も特に見ていなかったのですが読み始めたところ

これ、かなり実務的です。

本当に映画のサウンドデザインをやる人に手取り足取り教えるチュートリアル
何を用意して何をしておきましょう、こんなマップを作りましょう、と…
まだ第一章ですが驚くべき具体性。

一体どうやって作っているんだろう、と本当に私のように制作過程に興味のある人なら良いものの、
キャッチ―なタイトルと表紙に単純に惹かれた映画ちょっと好きです、みたいな人は
あまりに専門教科書的な内容に引いてしまうでしょう。

もっと抽象的に、映画における音楽の意味合いから始めるのかと思いました。

とはいえ興味深いことは確かで、映画音の一つひとつが凄まじい緻密さで作られている
(こともある)ことが分かります。

同じシーンをコメディチックなホラーにするか、ガチな重めホラーにするか、
その程度の違いも音の違いで表現していくわけです。

物語全体にちりばめられた感情を一旦、二極に分けてから音を作るとか。

普段映画に関わるわけでも、映画撮影の経験も無い者からすると
初めて知るプロセスばかりなので、

本気で想像力を使っていかないとついていけない情報量。

 

なかなか読みごたえがあります。


読んでいて思ったのですが

私は個人的にはダンスをやっていた人間なので
起点が完全に音なんですよね。

音に対して湧き上がるリズムとか動きを形にしていってダンスになるので、
主導権は基本的に音になります、特にHIPHOPとかJazzとか、いわゆる想像しやすいダンスについては。

それに対して映画って
当然ながら完全に視覚起点なので
全くプロセスも違うし主導権も違う。
でもだからこそ音と映像をズラすみたいな遊びがしやすかったり
新たな意味づけみたいな使い方ができるんだろうなぁと。

 

聴覚と視覚の強い組み合わせではあっても、根本的な差異として一つあげられるんじゃないかと思います。

 

映画の話に戻ると、
印象的な映画の中の音をちょっと思い出してみました。

1つはつい最近見た「バクマン
これすごく面白かったんですが感想は置いておいて
主人公のライバル、何とかっていう天才高校生漫画家
が漫画を描くシーンのペン先の音ですね。

分かりやすく狂気じみた、机の木のざらざらした素材と金属のペン先が強く擦れる音。
なかなかこれがキツい音で嫌で、非常に印象に残りました。
どうやって音作ってるんだろう。不快要素を混ぜ合わせてるんだろうと思いますが。

もう1つはずいぶん前に見た、「悪人」。
これも暗くて大好きだったのですが、それは置いておいて
劇中に演出で、様々な登場人物が魚をさばいているシーンが出て来るんですよ。
母親が魚をさばいているシーンが出てきて、シーンが切り替わったと思ったら
魚をさばいているということで繋がれて別の人間が出てくる切り替え演出です。

この魚をさばく音がかなりグロテスクで。
ぐちょっというような音だったと思います。
特にグロテスクなシーンなわけではなくて、
日常シーンを貼り合わせているシーンなのですが
生魚をさばくことそのものと音の効果、それだけで不吉な予感をきちんと感じさせてきた、
という点でかなり印象に残っています。

 

以上、映画音について考えてみましたが、まずは本を読み進めて感想を追加していこうと思います。